そう思っていたのに、望月くんからは、たまに「元気にしてる?」と電話がきた。
どうして私に連絡してくれるのか、わからなかったけれど、素直にうれしかった。
望月くんはいつも、電話を切る前「こんなに気軽に話せる女の子って、星名だけだな」と言った。
望月くんは東京の大学へ行ってしまったから、会うことはなかったけれど、電話をしていると、望月くんが隣にいるような気がした。
けれど大学を卒業すると、連絡は途絶えた。
*
それから時間は、こわいくらいはやく、流れていった。
もう、あの頃みたい折り畳み式のケータイ電話を持ち歩いている人は、限りなく少ない。
私はすっかり制服が似合わない歳になった。
望月くん以外の人とも、何人か付き合ったりしたし、結婚の手前までいったこともあったけれど、なぜだか踏み切れなかった。